はんだ吸取器、応急修理。

基板の修理や部品の載せ替え作業をしていると、DIP部品の場合には、
はんだ吸取器を使うことになります。

私が良く使っているのは、HAKK0の808という古いはんだ吸取器です。

普段、愛用している白光のはんだ吸取器808

ステーション型の良い製品もありますが、
会社員になりたての頃から使用しているハンディタイプの機種で扱いやすく、
その流れで購入したものです。

購入してからは、10年は経つでしょうか。

古くなってくれば、壊れるのは仕方のないこと。

はんだは溶かしてくれるものの、吸取力が落ちてしまい、
作業が出来なくなってしまいました。

色々と調べてみると、内部の吸取ポンプのダイヤフラム破損や、
ポンプの吸取向きを決める弁の破損が原因であることが多いようです。

残念ながら、古い機種のため、修理部品が出ません。
ポンプユニットやダイヤフラムは生産中止でした。

幸いにして弁の方はメーカーが案内している代替品があるようです。

本体のカバーを外してポンプを動かしてみると、
2つある気筒のどちらも排気口からエアが出ています。

それではと、ポンプ動作中に吸気口側に繋がるシリコンホースを潰してみると、
片側は音が変わりますが、もう片側は音が変わりません。

ダイヤフラム部、弁内蔵部を分解してみると、排気はできていることから、
ダイヤフラムの破れはなさそうです。

ダイヤフラムに破れ等はなさそう。

しかし、弁の方は劣化で形が崩れてしまい、排気側の弁が無くってしまっていました。

弁内蔵部は、排気側のリード部が崩れてなくなってしまっている。(画像手前に排気される。)

構造としては、画像のようなゴムのような弾力のあるリードバルブが内蔵されており、

ダイヤフラムの吸気と排気をこのリードバルブで切り替えています。

丁度、そのリード部が無くなってしまっていました。

早速、修理用の弁を頼もうとしましたが、お盆休み期間ということもあり、
休み明けにならないと届かないようです。

しかし、基板修理は進めないといけません。

そこで、応急対策として、3Dプリンタを用いて弁代わりになるものを作ることに。

3D_CADを用いて、壊れた弁から採寸したもの再現していきます。

崩れてしまった弁から採寸し、3D_CADで再現。

そして、3Dプリンタで印刷します。

弁として機能させるには、柔らかい素材である必要があることから、
今回はFDM方式のプリンタを用いてTPUフィラメントで作っています。

通常、充填率は10~20%程度にしますが、
空洞や隙間ができて弁としての機能が落ちてしまうのはまずいので、
充填率100%で印刷しています。

印刷直後の弁を再現したもの。フィラメントはTPUを使い、充填率100%にしている。

プリンタの設定にもよりますが、100%充填率で印刷すると、
はみ出し部分が画像のように出ることがありますので、不要な部分はカットが必要です。

弁を再現したものと、崩れてしまった弁の比較。長年の使用による劣化は避けられないようだ。

また、今回は急いで作ったので、本来ある切り欠きを再現せずに印刷してしまい、
後から気が付いて小さめのニッパーでカットしてあります。

後々、代替品が手に入らなくなった際に、3Dデータの方で切り欠き部を再現して、
修理に使用する予定です。

切り欠きも手作業でカットしたとはいえ、良い感じに収まっています。

再現し忘れた切り欠き(弁左上の突起部)を小さめのニッパーでカットして対応し、載せてみると、奇麗に収まった。

この後、ダイヤフラム部、弁内蔵部を組み上げて完成です。

ダイヤフラム部と弁内蔵部を本体に戻す。ポンプ動作中に画像のシリコンホースを指で潰すと音が変わり、吸取していることがわかる。

3Dプリントの応急修理ではあるものの、きちんと吸取力が戻りました。

最終的には、メーカー代替品へ再度直す予定ですが、直近の作業は何とかなりそうです。

全部が全部、3Dプリンタで再現できるわけではありませんが、
やはり1台あると非常に便利です。

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