FC3S/FC3Cのワイパースイッチが動かなくなったり、間欠動作が効かなくなることがあり
ます。
その際に、リレー交換を行って修理することが多いと思います。
②G6C-2114P-US DC12Vは、G6C-2117P-US DC12Vよりも高性能か?
①FC3S/FC3Cのワイパースイッチ修理において、旧オムロン(アラタス)の
リレーG6Cシリーズを使うことがあります。
また、同じくG5LEシリーズも交換用には必要になります。
G5LEは、G8の代替。G6CはG6Cの置き換え用で、G5LEは1個、G6Cは2個必要になります。

②通常の修理では、G6C-2114P-US DC12Vを使用することが多いかと思いますが、
巷では、まことしやかにG6C-2117P-US DC12Vよりも、G6C-2114P-US DC12Vの方が
高性能と言われることがあります。
ちなみに、純正はG6C-2117P-FD-US DC12Vです。
なぜ、このようなことが言われているのか?そして、本当に高性能なのか?
結論から言うと、G6C-2117P-US DC12Vも、
G6C-2114P-US DC12Vでも性能は変わりません。
電気的特性は何一つ変わらないのです。
じゃあ、なぜ型式が異なるのか?と思う方もおられるかと思います。
G6Cのデータシートを見るとわかるかと思いますが、下記のように分かれています。
(1)G6C-2117P-US DC12V…耐フラックス形
(2)G6C-2114P-US DC12V…プラスチック・シール形

耐フラックス形とは…。
はんだ付け時に、フラックスがリレー内に侵入しにくい構造をしたもの。
プラスチック・シール形とは…。
はんだ付け時のフラックや洗浄時の洗浄液の侵入を防止した構造。
大量生産において、基板実装は実装機を使用することが多いです。
スプレーフラクサでフラックスを吹き付け、その後フロー槽を通して
はんだ付けします。
最近の基板実装は、後工程の洗浄の手間を省くことから、無洗浄フラックスが
使用されることがあります。
しかし、フラックス洗浄を行う場合、その方法によっては、洗浄液がリレー本体内部
に入ってしまう可能性があるため、その場合に使用するのが、
プラスチック・シール形のリレーなのです。
FC3S/FC3Cのリレー交換においては、通常手はんだで作業を行うことだと思います。
市販されている一般的なはんだであれば、無洗浄フラックス入りのやに入りはんだを
使うことになりますので、プラスチック・シール形だから高性能という理屈には
なりません。
ただし、フラックスを気にして洗浄される際に、イソプロなど大量に使用したり、
基板を浸けて洗浄したりする場合は効果を発揮するかもしれませんが、
電気的特性は何一つ変わらないのです。
もちろん、完全シールではありませんから、
洗浄液に完全に沈めて洗浄する等といったことはできません。
③本来、もともとワイパースイッチについていたG6C-2117P-FD-US DC12Vを使うのが
筋だと思います。(当時の型式はG6C-2117P-FD-TMで、現在と表記が変わっています。)

G6C-2117P-US DC12Vに対して、G6C-2114P-US DC12Vを高性能だという人の盲点。
それは、純正の型式についているFDの文字です。
この型式のFDが意味するところ、
それはリレーの接点にAgSnInを使用していることです。
標準のAg合金接点に比べて、突入電流の大きいDC誘導負荷等に対応した
接点だということです。
もともと、FCのワイパースイッチはDC回路で使用され、それを考慮されてメーカーが
FD付を選らんているということです。
ということは、G6C-2117P-US DC12Vに対して、G6C-2114P-US DC12Vは高性能である
どころか、交換前のG6C-2117P-FD-US DC12Vに対して、性能低下しているという
見方もできるでしょう。
そういう意味では、”しいて言うならば、”もともとワイパースイッチに実装されていた
型式にFDが付いたものと同じものを選ぶことが、FD無しを選ぶことよりも高性能と
言えなくはないと考えられます。
ただし、ワイパースイッチからすれば、高性能化というよりは、同等性能といった方が
良いでしょう。
この型式にFDが付いたものと、FDが付いていないものには、実際どのくらいの
差があるか?
メーカー的には耐溶着性に優れているとしていますが、使用状況にもよりますので、
一概には言えないでしょう。
そのため、型式にFDが付いたものを使用すれば、修理前と同等と言えますが、
その分、リレーの単価が上がりますので、実際の使用状況でのメリットとコスト差に
見合うかは不明瞭な部分もあります。
④中には、再度の交換を考慮して接続ソケットを使用して、そこへリレーを取り付けて
いる方もおられるかと思います。
ここで注意しなければならないのは、接続ソケット専用のリレー型式
(型式にP6Cが付くもの。)があることと、専用の保持バンドを取り付ける必要が
あることです。
巷に出ているリレー交換の際にソケットを使用している例を見ると、
通常のはんだ付けタイプのリレーをソケットに挿しています。
データシート状の寸法は、わずかな誤差ではあるので、
実用上は問題ないかもしれません。
しかし、メーカーが型式を分けて寸法を変えるということは、
それなりの理由があるということです。
また、ワイパースイッチは走行中の振動がある状況で使用しますから、
保持バンドは付けておきたいところです。
さらに、ソケットの欠点は通電電流が5Amaxに制限されるということです。
データシートでは、リレー自体の定格電流は「抵抗負荷で8A」「誘導負荷で3.5A」と
なっています。
実際の使用状況での電流値がいくらか?によっても変わりますので、
交換が楽だから…と安易にソケットへ交換するのではなく、
いったん立ち止まって良く考えた方が良いと思います。
今回は、巷でよく言われているG6C-2117P-US DC12Vに対して、
G6C-2114P-US DC12Vの方が高性能なのか?ということについて書きましたが、
マニアックな部分ではありますが、答えとしては性能差はないということです。
電気的特性に差は無く、なんなら純正のFD付からすると劣っていると言えなくもない
といったところでしょうか。
ただし、FD付がFD無しに比べて、性能差とコストのバランスがあっているか?
と言われると…状況にもよるということです。
ちなみに…余談ですが、おまけとしてCaudeにこの件を聞いてみました。
もちろん、データシートを検索し内容を把握して「性能差はない」と返答してきます。
これに対し、『しいて言うならば、FD付ならば高性能と言えなくはない』と
私が発言したところ、下記のように回答してきました。
「FDの件はおっしゃる通りで、あれは唯一「中身が実際に違う」派生ですね。
ただこれも厳密には「高性能」ではなく「高機能」で、
しかもトレードオフ付きというのがまた面白いところです。
コイルサージ吸収ダイオードを内蔵している分、
外付け部品が省けて基板が楽になる代わりに、
・復帰時間が延びる(ダイオード還流で磁束がゆっくり減衰するため)
・復帰動作が緩慢になる分、接点開離速度が落ちて、
負荷条件によっては遮断時のアーク時間が延び、接点寿命に響き得る
・コイル極性が生まれるので逆接不可
という代償があります。」
2026年にもなっても…The AIという返答が来ました。
これもわかる人にはわかるマニアックな部分ですが、
まるで会社に入りたての新人のような回答。
リレーでFDと言えば…、大学で習ったフライホイールダイオード(FD)の話だと
合わせてくる。
わざわざデータシートまで検索し、中身を確認し、
G6Cというリレーの狭い範囲の話をしているのにです。
人間でもいますよね?突然、話の筋と違うことを言う人。
『いや違う!そこじゃない!!何の話をしている?』と問い詰めたくなる状況。
本来ならば、G6Cという極めて狭い範囲の話をしていて、
データシートまで見ているのであれば、データシート内に存在するFD付の型番…
つまり接点の話をしているのであって、データシートに出てこないダイオードの話
などしていない!となるわけです。
これは、Claude自身も認めているところではありますが、
データシートを読んでいても、問いに対しての解を探すことだけ行っており、
会話の流れ上、出てきたやり取りに対してはフォーカスしていないということです。
もちろん、これは特定の条件下では、こういった回答をするという一例に
すぎませんので、全てがこの回答か?と言われれば、そうではないのです。
私の問いかけも悪かったと反省する部分ではありますが、
本来ならば、”G6CのFDとは何か?”を聞けば正しい回答が返ってきます。
しかし…、これの恐ろしいところは、なんとなくそれらしい回答を返してくることです。
リレー全般の事を考えれば、話が外れてもいない。
Claudeをはじめ、AIはあくまでもツールであって、
それがすべてではないということです。
そして、書き込み方次第で回答の方向性を変えてしまうということです。
AIだからなんでもできる、なんでも正しく回答してくれると鵜呑みにすると、
今回のようなそれらしい回答であっていると思い込んでしまいます。
Claude自身が、人間の会話をそれらしく繋ごうとすると認めています。
これもマニアックな内容になりますが、一歩間違えると…。
ラーメンズの、”バニーボーイの店「ラビリン」下高井戸店へようこそ!”のような会話が
繰り広げられることになります。
ネットの情報も、AIの回答も、それは本当の事なのか?という疑問と検証・確認を
怠らないようにする必要がありそうです。
